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「くらしの花木-くびきの春-」 私たちが自然から受け取り、自然に返すもの vol.1

「くらしの美術館 -遠隔の共創-」では、無印良品 直江津を舞台に、アーティストと地元住民が数カ月に渡り、遠隔で重ねてきたコミュニケーションをベースに制作した「回復」「移動」「くらし」の3つのプロジェクトが行われます。
直江津地区で生活される方々に、Open MUJIを始めとした直江津エリア複数個所に設置される作品鑑賞、または会期前から始まるワークショップへの参加を呼びかけることで、アーティストと市民が共同で創る「くらしの美術館」を目指していきます。
ティンカリングは「くらし」をテーマに「私たちが自然から受けとり、自然に還すもの」という視点で人間と自然の関係性を捉えながら、この町でくらす人々の生活から見える風景を探していきます。

私たちが自然から受け取るもの 「 くらしの花木 –くびきの春 –

冬のあいだ、曇り空と雪の世界に閉じ込められる雪国の人々にとって、春はとても待ち遠しいものです。人々は雪下の山菜の息吹きや、木々の芽吹きを心待ちにしています。直江津で育った誰もが、身近な花木で遊んだ経験を持つでしょう。また山の集落、海の集落ごとに植生する花木も違えば、人々の記憶に残る花木も違います。季節感を感じる機会も乏しくなった昨今。また同様に、同じ風景を見ても、個々の草木の名前を挙げられる人は少なくなっています。
アーティスト孫平Books&Flowers川合真生は、直江津にくらす、5組に「くらしの花木」をテーマにインタビューを行い、その内容をもとにフラワーアレンジメントを作成、会場に展示します。
本企画を通じて、私たちのくらしの風景にある草木に固有の名前と記憶を添えること、そして、くらしの中に四季折々の花木を取り入れることで、自然との関わり方をより身近にしていきたいと思います。

Osteria Sakazume 坂詰つぐみさん

【インタビュー要約】                                                  自分で畑をして、ジャガイモやタマネギを育てている。前にはイチゴも。ジャムにした。昨年からぶどうの栽培を始めた。マスカットベリーA。くびきのぶどう園にいく途中のドライブ、車窓の風景に春を感じる。畑のため池にミドリガメが住み着いた。アマガエルもかわいい。                                                       雪国の春はすべての花が一斉に咲き始めますよね。椿、水仙、サザンカ、桜、里山が緑に包まれる頃に山桜が咲いている。夜桜、夜のとばりに広く浮かびあがる桜に息を飲む。田植えのあと、ほんのわずかな間だけ、水の張った田んぼの水面に映る山の姿もきれいよね。                                                          レストランの脇で月桂樹、ローズマリー、ミントなどのハーブを育てている。これがうちのお店らしさかな。高志の横山さんのアスパラは最高。他にもえんぴつなす、シシリアンルージュも最高ですよ。                              (娘さん)春はにおいで感じる。学校の帰り、夜のバイト帰り、土の香りで春を感じる。雪が解けて、土の香りがするのかな。つくしの香りも。学校で長岡に行くようになってから、山菜も食べるようになった。

継続だんご本舗 三野屋 重原稔さん

【インタビュー要約】                                                  6時に起きて、7時に仕事場へ。冬は工房を温めることから始まる。冬はあんこでもなんでも生地が締まる。反対に夏は冷房なんてききやしない。湿気もあって生地がだれるから、汗だくで手早く作業する。                           継続団子はいまも昔も年度代わりの挨拶に「末長く、これからも」って使ってもらっている。人の縁をつないでいるお菓子。いまも昔も盆暮れ正月、年度代わり、お出かけにお供にお菓子をだしてきた。春は卒業式の紅白まんじゅう、GW頃にはくびきあたりは田植え・稲刈りのときに、人が帰ってきて法事も増えるから、お菓子もよく出るね。                        春は高田の観桜会が仕事のピーク。塩漬け桜のサブレ、おまんじゅう、桜餅、桜ものを仕込み始めると春を感じるよ。       直江津の辺りは祇園祭もあって、地縁が濃い。コロナもあったし、昔より薄くなってきているかもしれないが、結婚式やお葬式、法事みたいな、人と人が縁を結ぶタイミングに、菓子屋としてやれることをやっていきたい。                    大雪の後、馴染みのお客さんが来て、「お店が開いていて、いつものお菓子を食べられて、ほっとした」って。街のお菓子屋さんなんだって、気づかせてもらっている。

株式会社頚城自動車 スタッフ

【インタビュー要約】                                                  安塚出身で高校まで過ごし、その後上越で就職。関東に10年ほど働きに出た後に、13年前に上越に戻る。昨年転職して、今の職場に。いまの家から職場まで歩く道すがらに小さな花が咲いているのに気がつくと、春を感じる。                             一番最近は2,3年前に友人を誘って、山に入った。タラの芽、山うどやゼンマイ、わらび、昔のように歩けなかった。茅で滑ったり、人の手が入らなくなって荒れてきている気もした。以前は1年を通じて山に行き、畑の手伝いをしていた。取ってきたきたぜんまいはトタンで干して揉んでいた。                                               関東は冬も晴れが多くて、春は華やか。整備された花壇や街路樹に一斉に花が咲く。雪国の春の花は、小さくて、目を引くわけではない。けれど、見つけた時に、かわいいなぁ、ほっこりと温かい気持ちになる。                             小さい頃、母が野の花やチューリップやヒヤシンス、ふきのとうやすみれなどを小さなプランターに植えて、冬のあいだいろりのそばで育てていた。雪深いから、小さな花の姿に励まされて春を感じていたのだと思う。小学生4、5年の頃に自由研究で植物採集をした。家の周りの野に咲く花、ツユクサみたいな花を新聞に挟んで、画用紙に貼って、こんなにたくさんあるんだなぁって思った。  春一番を感じるのは、空の色。冬はずっと鉛色の空。遠くの妙高山がよく見えて、青空が広がると春だなと思う。海もそう、冬の荒波の日本海が穏やかな表情になっていく。春は緑がかった水色に近い青。昨日はもう海岸を散歩している人、犬を連れている人もいた。夏は群青色に変わっていく。

上越教育大学附属中学校 教諭 大崎貢さん

【インタビュー要約】                                                  くびきで育って、祖父母は米、野菜農家。でも手伝い嫌で、小一の自由研究「オクラができるまで」はほぼおばあちゃんが作ってくれた。田植え、稲刈りは強制で手伝わされて、はやく家を出たい。祖父母が亡くなり、兼業で父親が継いだが米作りは辞めた。機材の維持費のもとが取れない。いまこの歳になって稲作をやりたいと思う。                             技術、科学連携で生徒さん、ひとり一鉢ミニトマトを育てたりしている。強風で倒れた時が嬉しくてしょうがなかった。そこに学びのヒントがいっぱいあると思うから。                                            大学院で高田公園の植物を採集、分類をすることになったのが転機だった。厳しい指導教官のもと、植物採集を始めたが、最初は理由をつけて週1日とかしか行かなかった。最初はそもそも興味がなかったし、見分けがつかなかった。草 葉とか根を見る、花だけ採取していると、同定が難しい。毎日通うようになって、きっと不審者のように見えていたと思う(笑)冬のあいだ、草は無くなった。木を採集することになった。葉も落ちて、木肌で判断しろと言われる。雪のうえ、余計な情報がない。お城の堀、碁盤の目状に樹木が整理して植えられている木々も江戸時代に植えられたものもあれば唐松林(お城)、戦後に植林された杉林(林野庁)もある。ひとかたまりだった公園の木々の種はもちろん、経緯や由来もわかってきた。                               冬から春にかけて、3月よりもっと前から春は始まっている。どの花が最初に咲くだろう。Spring ephemeral と呼ばれる、カタクリ、きくざきいちげ、去年はおおいぬのふぐりが早かった。ぬらさきけまん・みちのくえんごさく・オランダミミナグサ・ふき(のとう)・カキドオシ…                                                   そういえば息子が、小5〜中2のときに自由研究で植物標本を作った。ちょうど、直江津のエルマール周辺の植物を集めたんですよ。 *展示の植物標本は大崎繭さん制作のもの。一覧はこちらから。

フルーツとみざわ 富沢靖博さん

【インタビュー要約】 家業を継いで30年。朝5時には起きて市場に行く生活を続けている。新潟の春はやっぱりイチゴ。あとはアンデスメロンかな。他には柑橘類各種ってところだね。夏になるとスイカ、ルレクチェが始まると秋を感じるね。 直江津といえば、やっぱり祇園祭。おセンマイがいいって若いのは言うけれど、私はなんといっても川行事だと思う。直江津小唄にもあるでしょう、「夜の荒川、神輿万度が下がる〜」って。7月になるとお囃子の練習が始まって、ああいよいよ祭りだなぁって思いますよ。 春は一人でね、荒川の土手に行って桜をみたりするんですよ。奥さんに店番を任せてね(笑) *参考:直江津小唄(二三吉)

【クリエイター】孫平Books&Flowers 川合真生

本と花で空間をアレンジするユニット孫平Books&Flowersの花担当。 東京近郊で生まれ育ち、10歳から草月流の生花を学ぶ。7年前に上越市に移住し、昨年、糸魚川へと移住した。野花の草木を採集して、アレンジするワークショップなど活動中。二児の母。 ——–

【くらしの美術館 -遠隔の共創-】 会期日時|3月20日(土)~28日(日) ※会期中無休 主  催|くらしの美術館 実行委員会 準備会 料  金|無料 会  場|無印良品 直江津 他 各所 問合せ先|無印良品 直江津(TEL:025-520-7591)